知らないと損する!中古不動産の登記費用を抑える5つのポイント|小島理恵

中古不動産

中古不動産の購入を考えている方にとって、登記費用は大きな負担となります。意外と知られていないのが、この登記費用は抑えることができるということです。

この記事では、不動産売買担当を12年間勤めてきた私が、所有権移転登記や抵当権設定登記といった登記の種類と登録免許税や司法書士報酬といった費用内訳を分かりやすく解説します。

中古不動産の登記費用とは

中古不動産を購入する際には、物件価格以外にも様々な費用がかかります。その中でも登記費用は大きな割合を占めるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。登記とは、不動産の所有権や抵当権などの権利関係を公的に記録する手続きのことです。この手続きによって、あなたの不動産所有権が法的に保護されます。中古不動産の購入に伴う登記費用は、主に以下の2つの種類に分けられます。

登記の種類と費用相場

登記の種類内容費用相場
所有権移転登記不動産の所有権を売主から買主へ移転する登記固定資産税評価額×1.5/1000(登録免許税)+司法書士報酬
抵当権設定登記住宅ローンを利用する場合に、金融機関が不動産に抵当権を設定する登記ローン金額×2/1000(登録免許税)+司法書士報酬

登記の種類によって費用は大きく異なります。主な登記の種類と費用相場は以下の通りです。

※上記の費用相場はあくまでも目安です。具体的な費用は、個々のケースによって異なります。

中古不動産の登記費用を抑えるポイント1:司法書士を自分で選ぶ

中古不動産を購入する際、所有権移転登記などの手続きには司法書士が必要不可欠です。多くの場合、不動産会社が提携している司法書士を紹介されますが、必ずしもその司法書士に依頼する義務はありません。自分で司法書士を選ぶことで、登記費用を抑えることが可能です。

司法書士の報酬は自由に設定できる

司法書士の報酬は、法律で定められた上限はあるものの、具体的な金額は各司法書士が自由に設定できます。そのため、司法書士によって報酬額が異なる場合があります。不動産会社が紹介する司法書士は、必ずしも報酬が安いとは限りません。中には、不動産会社と司法書士の間で紹介料が発生しているケースもあり、その費用が間接的に買主の負担となる可能性もあります。

複数の司法書士に見積もりを依頼する

登記費用を抑えるためには、複数の司法書士に見積もりを依頼し、比較検討することが重要です。相見積もりを取ることで、費用を抑えられるだけでなく、サービス内容や対応についても比較できます。司法書士を選ぶ際には、報酬額だけでなく、経験や実績、対応の丁寧さなども考慮しましょう。

具体的には、以下の項目について確認することをおすすめします。

項目内容
報酬額登記費用全体の内訳を明確に提示してもらう
実績・経験不動産登記の経験が豊富か、実績は十分かを確認する
対応問い合わせへの対応の迅速さや丁寧さを確認する
その他オンライン申請への対応や、土日祝日の対応なども確認する

中古不動産の登記費用を抑えるポイント2:オンライン申請を活用する

中古不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記にかかる費用を抑える方法として、オンライン申請の活用が挙げられます。オンライン申請とは、インターネットを通じて法務局に登記申請を行う方法です。従来の書面による申請と比較して、時間と費用の節約が可能です。

オンライン申請で登録免許税が軽減される

オンライン申請の最大のメリットは、登録免許税の軽減です。不動産の所有権移転登記の場合、登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算されますが、オンライン申請を利用すると、この税率が0.1%軽減されます(法務省 登録免許税軽減措置(PDF)https://www.moj.go.jp/content/000011324.pdf)。

オンライン申請の利用による軽減額の上限は通常4,000円です。

オンライン申請の方法

オンライン申請を行うためには、以下の手順が必要です。

  1. 電子証明書の取得:オンライン申請には、電子証明書が必要です。法務局または民間認証局で取得できます。
  2. 申請用ソフトウェアのインストール:法務省が提供する無料のソフトウェア「登記・供託オンライン申請システム」をインストールします。
  3. 必要書類の電子化:登記申請に必要な書類をスキャナーなどで電子化します。
  4. オンライン申請システムへの入力:申請用ソフトウェアに必要事項を入力し、電子化した書類を添付します。
  5. 申請データの送信:作成した申請データをオンライン申請システムに送信します。

オンライン申請は、司法書士に依頼せず自身で行うことも可能です。ただし、登記手続きは複雑なため、不明点がある場合は司法書士に相談することをおすすめします。また、一部の金融機関では、住宅ローン契約と同時にオンライン申請を代行してくれるサービスを提供しています。オンライン申請の手順については詳しく(法務省:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji72.html)サイトに記載されています。

中古不動産の登記費用を抑えるポイント3:軽減措置の適用を受ける

住宅ローン控除との併用で登録免許税が軽減

住宅ローンを利用して中古住宅を購入する場合、登録免許税の軽減措置を受けることができます。この軽減措置は、住宅ローン控除と併用することで適用されます。具体的には、住宅の取得対価が一定額以下の場合、登録免許税が軽減されます。

中古不動産の登記費用を抑えるポイント4:不動産会社に登記費用を交渉する

中古不動産を購入する際、登記費用は決して無視できないコストです。売買価格に目が行きがちですが、登記費用も予算に組み込む必要があります。この章では、不動産会社と登記費用について交渉する際のポイントを解説します。

値引き交渉は可能か

一般的に、登記費用そのものを直接値引き交渉することは難しいです。なぜなら、登記費用の大部分を占める登録免許税は法律で定められた税金であり、司法書士報酬も業務内容に応じた適正な価格が設定されているからです。ただし、登記費用に含まれる司法書士への報酬部分について、交渉の余地がある場合もあります。司法書士は不動産会社と提携しているケースが多く、不動産会社を通して依頼することで割引が適用される可能性があります。また、複数の司法書士に見積もりを依頼し、比較検討することで費用を抑えられる可能性も出てきます。

一方で、不動産会社に支払う仲介手数料は交渉可能です。仲介手数料は法律で上限が定められていますが、その範囲内であれば値引き交渉に応じてくれる不動産会社もあります。仲介手数料が下がれば、全体的な費用を抑えることに繋がります。成功するかは状況次第ですが、交渉してみる価値はあります。

登記費用込みの価格提示を受ける

不動産会社によっては、売買価格に登記費用などの諸費用を含めた価格を提示してくれる場合があります。諸費用込みの価格提示を受けることで、総額を把握しやすくなり、予算計画が立てやすくなります。また、諸費用込みで交渉することで、全体的なコストダウンを図れる可能性も高まります。ただし、内訳をしっかりと確認することが重要です。登記費用以外の諸費用が含まれていないか、適正な価格設定になっているかを確認しましょう。不明な点は不動産会社に確認し、納得した上で契約を進めるようにしましょう。

項目交渉の可否注意点
登録免許税不可法律で定められた税金のため、値引きはできません。
司法書士報酬一部可能司法書士に直接依頼したり、複数の司法書士に見積もりを依頼することで費用を抑えられる可能性があります。
仲介手数料可能法律で上限が定められていますが、値引き交渉に応じてくれる不動産会社もあります。

不動産会社との交渉は、購入前にしっかりと行うことが重要です。契約後に交渉することは難しいため、事前に疑問点や不明点を解消し、納得した上で契約を進めるようにしましょう。

中古不動産の登記費用を抑えるポイント5:登記費用を事前に把握し資金計画を立てる

中古不動産を購入する際には、物件価格以外にも様々な費用がかかります。登記費用もその一つであり、事前にしっかりと把握し、資金計画に組み込んでおくことが重要です。登記費用を軽視すると、予算オーバーに陥り、せっかくのマイホーム購入がスムーズに進まない可能性があります。資金計画を綿密に立てることで、安心して不動産取引を進めることができます。

登記費用以外の諸費用も考慮する

中古不動産の購入には、登記費用以外にも様々な諸費用が発生します。これらの費用も事前に把握し、資金計画に組み込んでおく必要があります。

費用項目内容相場
仲介手数料不動産会社に支払う手数料。物件価格の3%+6万円+消費税
印紙税売買契約書に貼付する印紙の費用。契約金額によって変動
固定資産税・都市計画税固定資産の所有者にかかる税金。日割り計算で精算。物件の評価額によって変動
住宅ローン保証料住宅ローンを組む際に保証会社に支払う費用。借入金額によって変動
火災保険料住宅ローンを組む際に加入が必須となる火災保険の費用。建物の構造や補償内容によって変動
引っ越し費用新居への引っ越しにかかる費用。荷物の量や移動距離によって変動

これらの諸費用は、物件価格や契約内容、個々の状況によって大きく変動します。不動産会社や司法書士に相談し、見積もりを依頼することで、より正確な費用を把握することができます。

資金計画の重要性

中古不動産の購入は人生における大きな買い物です。資金計画を綿密に立てずに購入を進めてしまうと、想定外の費用が発生したり、住宅ローンの返済が滞ったりする可能性があります。

資金計画を立てる際には、以下の点に注意しましょう。

  • 自己資金を明確にする:頭金として用意できる自己資金を把握しましょう。
  • 借入可能額を確認する:金融機関に相談し、借入可能額を確認しましょう。返済比率や金利なども考慮する必要があります。
  • 返済計画をシミュレーションする:住宅ローンの返済計画をシミュレーションし、無理のない返済額を設定しましょう。
  • 予期せぬ出費に備える:リフォーム費用や家具家電の購入費用など、予期せぬ出費に備えて、ある程度の余裕資金を確保しておきましょう。

しっかりと資金計画を立て、無理のない範囲で購入を進めることが、中古不動産購入を成功させる鍵となります。

まとめ

中古不動産の購入には、物件価格以外にも様々な費用がかかります。特に見落としがちなのが登記費用です。

事前に費用を把握し資金計画を立てることが重要です。これらのポイントを実践することで、無駄な出費を抑え、よりスムーズに不動産購入を進めることができるでしょう。しっかりと計画を立て、賢く不動産購入を実現しましょう。

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